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電波はあるのにネットがつながらない原因は?台風のあと「一部のアプリだけ使えない」状態になった話

台風のあと、窓辺で電波は立っているのにつながらないスマホを見て首をかしげる人の絵

台風のあと、スマホがちょっと不思議な状態になりました。

電波はしっかり立っている。LINEも普通に届く。Google検索もできる。なのに、検索結果からサイトを開こうとすると、ほとんど開かないんですよね。楽天ペイのアプリも使えないし、XもTikTokも読み込まない。でも、YouTubeやInstagram、Netflixは普通に開く。

TVerやABEMAも試してみたら、こっちは開かない。同じ動画サービスなのに、です。

「え、これどういうこと?」となったので、いろいろ試しながら調べてみました。

この記事の結論

  • 電波があるのに一部だけ使えないときは、スマホの故障ではなく、通信の「道のり」の途中が詰まっている可能性が高いです。
  • Google、Meta(Instagram)、Netflix、LINEのような巨大サービスは、携帯会社の網の中にサーバーを置くなどの「近道」を持っていて、そこだけ通ることがあります。
  • 調べてみると、使えたサービスはどれもIPv6に対応していて、使えなかったサービスはIPv4だけでした。携帯回線の「IPv4の道」だけが詰まっていた可能性があります。
  • Wi-Fiに切り替えて使えるなら、携帯回線側の問題です。復旧を待つか、別の回線で乗り切るのが現実的です。

台風の翌日、スマホがこうなった

千葉県茂原市で、実際に試した結果がこちらです。回線はUQモバイル(au回線)です。

2026年9月22日・茂原市・携帯回線で試した結果

  • LINE○ 使えた
  • Google検索・Googleマップ○ 使えた
  • YouTube(アプリ・ブラウザ)○ 使えた
  • Instagram・Threads○ 使えた
  • Netflix○ 使えた
  • 検索結果から開くサイト× ほとんど開かない
  • X・TikTok× 開かない
  • 楽天ペイ(アプリ)× 使えない
  • TVer・ABEMA× 開かない
  • NewsPicks× 開かない

カフェや家のWi-Fiにつなぐと、Xも楽天ペイもサイトも普通に使えた

ポイントは、「全部ダメ」ではなく「使えるものと使えないものが、はっきり分かれた」ことです。

しかも、アプリかブラウザかは関係ありませんでした。YouTubeはアプリでもブラウザでも開けたのに、楽天ペイはアプリでも使えない。動画かどうかも関係なくて、Netflixは見られるのに、TVerやABEMAは開かない。つまり、スマホの使い方の問題ではなく、「どこにつなごうとしているか」で結果が変わっていたんです。

そもそも何が起きていたのか

台風の夜、スマホを手に窓の外の雨を見る人の絵

2026年9月21日、台風25号が千葉県にかなり近づいて、県内は記録的な大雨になりました。東京電力パワーグリッドの情報によると、夜8時すぎの時点で、千葉県や神奈川県など関東全体でおよそ5万2600軒が停電。茂原市でも夜に停電が起きています。

携帯電話にも影響が出ていました。KDDI(au・UQモバイル)は同じ日の夜、市原市、長柄町、長南町など茂原のまわりの地域で、「停電や伝送路の故障」によって携帯電話が使えない、または使いづらい状態になっていると発表しています。

伝送路というのは、ざっくり言うと、基地局と携帯会社の設備をつなぐ通信ケーブルなどの通り道のことです。つまり、電気だけでなく「線」のほうもダメージを受けていた、ということですね。

電波があるのにつながらないのはなぜ?

まず大事なのは、スマホの通信は「スマホから相手に一直線」ではない、ということです。

スマホのデータは、近くの基地局、携帯会社のネットワーク、インターネットへの出口と、いくつもの設備をリレーして、やっと見たいサイトやアプリにたどり着きます。

スマホの通信は、いくつもの設備をリレーして届く スマホ、基地局、携帯会社のネットワーク、インターネットへの出口、見たいサイトやアプリの順に、一本の道でつながっている図。 スマホ 電波で、近くの基地局とつながる 基地局 町の中のアンテナ。停電の影響を受けやすい 携帯会社のネットワーク 光ケーブルで、都市部の大きな設備へ インターネットへの出口 ここから世界中のサービスへ出ていく 見たいサイト・アプリ X、楽天ペイ、ニュースサイトなど
図1 スマホの通信は、いくつもの設備をリレーして届く

「電波が立っている」というのは、このリレーの最初の区間、つまりスマホと基地局のあいだがつながっている、という意味でしかないんですよね。その先のどこかが詰まっていれば、電波は立っているのにネットは使えない、ということが普通に起こります。

今回はLINEが届いていたので、少なくとも基地局は動いていました。問題はその先、リレーの途中のどこかにあったと考えられます。

LINEやYouTube、Netflixだけ使えたのはなぜ?

ここが一番おもしろいところです。

最初は「ギガが足りなくて、速度制限がかかったのかな?」と思いました。でも、動画はかなり重い通信なのに、YouTubeはアプリでもブラウザでも普通に再生できたんですよね。つまり、回線が細くなっていたわけではない。行き先によって「通れる道」と「通れない道」が分かれていた、と考えるのが自然です。

で、なぜそんなことが起きるのか。

Google(YouTubeやGoogleマップも含む)、Meta(InstagramやThreads)、Netflixのような世界規模のサービスは、携帯会社やプロバイダの設備の中に、自分たちのサーバーを置かせてもらう仕組みを持っています。NetflixならOpen Connect、GoogleならGoogle Global Cacheという名前です。LINEのような国内最大級のサービスも、携帯会社と直接つながっていることが多いです。

つまり、動画や画像が携帯会社の網の中から直接届くんですよね。いわば、巨大サービス専用の「近道」です。

一方で、それ以外の多くのサイトやアプリは、携帯会社のネットワークから「インターネットへの出口」という一般道を通って届きます。

近道は通れて、一般の出口だけが詰まっていたイメージ 携帯会社のネットワークから二本の道が分かれる。大手サービスと直結する近道の先のLINE、Instagram、Google検索とマップ、YouTube、Netflixは使えた。一般の出口は通行止めで、その先のX、TikTok、楽天ペイ、TVer、ABEMA、一般のサイトは開かなかった。 携帯会社のネットワーク 近道 直結ルート 一般の出口 通行止め LINE・Instagram Google検索・マップ YouTube・Netflix ○ 使えた X・TikTok・楽天ペイ TVer・ABEMA 一般のサイト × 開かない ※症状から考えた推測のイメージです
図2 近道は通れて、一般の出口だけが詰まっていたと考えると、症状の説明がつく

台風でケーブルが傷んで迂回ルートに通信が集中したり、どこかの設備が不調になったりして、この一般道の出口が詰まる。そうすると、近道を持っている大手サービスだけが使えて、それ以外は開かない、という今回とまったく同じ状態になります。

Google検索の結果は出るのに、そこからサイトが開かなかったのも、これで説明がつきます。検索結果のページはGoogleから近道で届くけれど、リンク先のサイトは一般道の先にあるからです。

いちばんわかりやすかったのは、NetflixとTVer・ABEMAの違いです。どれも同じ重い動画サービスなのに、Netflixは見られて、TVerとABEMAは開かない。もし回線が細くなっているだけなら、Netflixも止まるはずです。

分かれ目は、「サーバーが携帯会社の網の中にあるかどうか」。TVerやABEMAも大きなサービスですが、Google・Meta・Netflixほど携帯会社の設備の中には入り込んでいない、ということなんだと思います。

IPv6は通って、IPv4だけ詰まっていた?

もうひとつ、気になって調べたことがあります。test-ipv6.comという、自分の回線がIPv6とIPv4のどちらで通信できるかを確かめられるサイトで調べてみると、IPv6での接続は「OK」と出ました。

IPv4とIPv6は、インターネットの「住所」の形式です。

  • IPv4は昔からある住所で、数が足りません。そのため携帯会社は、たくさんのスマホで1つの住所を共有させる「変換の装置」を通して、インターネットに出しています。
  • IPv6は新しい住所で、数がたっぷりあります。スマホ1台ずつに住所があるので、その変換の装置を通らずに外へ出られます。

そこで、試したサービスがどちらの住所を持っているかを調べてみました。

試したサービスの住所(2026年9月22日・DNSで確認)

  • Google検索・GoogleマップIPv6あり ○
  • YouTubeIPv6あり ○
  • Instagram・ThreadsIPv6あり ○
  • NetflixIPv6あり ○
  • LINE(メッセージの通信先)IPv6あり ○
  • X・TikTokIPv4だけ ×
  • 楽天ペイIPv4だけ ×
  • TVer・ABEMAIPv4だけ ×
  • NewsPicksIPv4だけ ×

使えたサービスは全部IPv6あり、使えなかったサービスは全部IPv4だけ

見事に分かれました。

つまり、携帯会社のIPv4の変換の装置か、その先の道のどこかが不調で、IPv6の道は無事だった。そう考えると、今回の症状は全部説明がつきます。

NetflixとTVer・ABEMAの違いも、ここで分かれていました。前の章の「近道」と合わせて、大手サービスが強かったのは、この2つの理由が重なっていたからだと思います。

※IPv6に対応しているかどうかは、記事を書いた時点でDNS(インターネットの住所録)を調べた結果です。当日の携帯会社の設備の状況は公表されていないので、ここも推測です。

Wi-Fiだと全部使えたのはなぜ?

近くのカフェでWi-Fiにつないだら、楽天ペイもXも、さっきまで開かなかったサイトも、全部あっさり使えました。家のWi-Fiでも同じでした。

お店や家のWi-Fiは、それぞれが契約している光回線を通ります。携帯会社とは別の会社の、別の出口からインターネットに出るので、携帯会社側の不調の影響を受けないんです。

行き先は同じでも、通る道が違えば結果も変わる スマホの回線は携帯会社の出口が通行止めで届かない。カフェのWi-Fiは光回線の会社の出口から、同じXや楽天ペイのサーバーに届く。サーバー自体は正常に動いていた。 スマホの回線 携帯会社の電波 カフェのWi-Fi お店の光回線 携帯会社の出口 × 通行止め 光回線の会社の出口 ○ 通れる X・楽天ペイ サーバー自体は正常に動いていた
図3 行き先は同じでも、通る道が違えば結果も変わる

ここからわかるのは、楽天ペイやXのサービス自体はちゃんと動いていた、ということ。問題は「サービス側」ではなく「携帯回線の道のり」にあった、というわけです。

ちなみに、「アプリなら大丈夫」というわけでもありません。楽天ペイのようなアプリも、裏ではインターネットの向こうにあるサーバーと通信しています。なので、道が詰まればアプリも普通に使えなくなります。

※ここで紹介した原因は、僕のスマホの症状から考えた推測で、携帯会社から正式に発表されたものではありません。実際の状況は、各社の障害情報のページで確認してください。

「一部だけつながらない」ときの確かめ方

同じような状態になったら、次の順番で確かめると、どこに問題があるかだいたいわかります。

一部だけつながらないときの確かめ方 LINEも含めて全部使えないなら電波や基地局の問題。一部だけならWi-Fiにつなぐ。Wi-Fiで使えるなら携帯回線側の問題、使えないならそのサービス自体の障害。 LINEも含めて 全部使えない? はい 電波・基地局の問題 停電や圏外。復旧を待つ いいえ Wi-Fiにつなぐと 使える? はい 携帯回線側の問題 再起動・障害情報を確認 いいえ そのサービス自体の障害 サービスの公式の障害情報を確認
図4 Wi-Fiに切り替えるだけで、問題の場所をかなり絞り込める
  • LINEも含めて何も使えないなら、電波や基地局の問題です。停電や圏外が考えられるので、復旧を待つしかありません。
  • 一部だけ使えないなら、Wi-Fiにつないでみてください。
  • Wi-Fiなら使える場合は、携帯回線側の問題です。スマホの再起動や、機内モードのオン・オフでつなぎ直すと直ることがあります。携帯会社の障害情報も確認しましょう。
  • Wi-Fiでも使えない場合は、そのサービス自体に障害が起きているのかもしれません。サービスの公式の障害情報を確認します。

確かめるときのコツは、GoogleやYouTubeではなく、普通のニュースサイトやお店のホームページで試すことです。大手サービスは近道で通ってしまうので、判定には向きません。

もうひとつは、test-ipv6.comで、IPv6とIPv4のどちらが通っているかを見ることです。IPv6だけ通っているなら、今回と同じ「IPv4の道だけが詰まっている」状態かもしれません。

災害でスマホが使えなくなる前にできる備え

スマホと予備のバッテリーを防災袋に入れて備える人の絵

今回いちばん感じたのは、「通信の道を1本しか持っていないと、そこが詰まったら終わり」ということです。なので、道を2本持っておくのがおすすめです。

  • 自宅の光回線とWi-Fiは、携帯回線とは別の道になります。停電中は使えませんが、電気が戻ればかなり頼りになります。
  • 携帯会社の「副回線サービス」や、別の携帯会社のeSIMを予備として持っておくと安心です。同じ携帯会社の電波を使うプランは、基地局などの設備が共通なので、予備としては弱くなります。
  • キャッシュレス決済は、通信がないと使えません。災害のあとは、少し現金を持ち歩いておくと困りません。
  • 自分が使っている携帯会社の「障害情報」のページを、ブックマークしておきましょう。

逆に言うと、今回のような状態でも、LINEやGoogleマップ、検索は使えました。連絡・地図・情報収集という最低限は、大手サービスでまかなえることもある、というのは覚えておいて損はないと思います。

よくある質問

Q. 電波が立っているのにネットにつながらないのはなぜ?

電波が立っているのは、スマホと基地局のあいだがつながっているという意味だけです。その先の携帯会社の設備や通信ケーブル、インターネットへの出口のどこかが不調だと、電波があってもネットは使えません。台風や停電のあとに起こりやすい状態です。

Q. LINEは使えるのに、ほかのアプリやサイトが使えないのはなぜ?

LINEやGoogle、YouTube、Instagram、Netflixのような大手サービスは、携帯会社の網の中にサーバーを置いていたり、携帯会社と直接つながっていたりすることが多いです。そのため、一般のインターネットへの出口が不調でも、大手サービスだけは使える場合があります。

Q. Netflixは見られるのに、TVerやABEMAが見られないのはなぜ?

Netflixは、携帯会社などの設備の中に自社のサーバーを置く仕組みを持っているため、携帯会社の網の中から動画が届きます。TVerやABEMAは一般のインターネットを通って届く部分が大きいと考えられるため、その出口が不調だと開けなくなります。回線の速さではなく、通り道の違いで結果が分かれます。

Q. IPv6とIPv4で、何が変わるの?

どちらもインターネットの「住所」の形式です。IPv4は数が足りないため、携帯会社は多くのスマホで住所を共有させる変換の装置を通して外に出しています。IPv6は変換なしで外に出られます。今回は、使えたサービスがどれもIPv6に対応していて、使えなかったサービスはIPv4だけでした。IPv4の側だけが不調だった可能性があります。

Q. 速度制限(ギガ不足)とはどう見分ける?

YouTubeのような重い動画が普通に見られるなら、速度制限の可能性は低いです。確実なのは、契約している携帯会社のアプリでデータ残量を確認することです。

Q. アプリなら、ブラウザより通信障害に強い?

強くありません。楽天ペイのようなアプリも、裏ではインターネット上のサーバーと通信しています。通り道が詰まれば、アプリも使えなくなります。

Q. 通信障害が起きているか、どこで確認できる?

各携帯会社の公式サイトにある「障害情報」のページで確認できます。携帯回線がつながらないときは、Wi-Fiにつないでから見るのが確実です。

まとめ

道の一つが通れず、もう一つの道を選んで進む人の絵

電波は立っているのに、一部のアプリやサイトだけ開かない。そんなときは、スマホの故障を疑う前に「道のりのどこかが詰まっているのかも」と考えてみてください。

  • 電波があっても、通信の途中が詰まればネットは使えない。
  • Google・Meta・Netflix・LINEのような巨大サービスは「近道」を持っているので、そこだけ使えることがある。
  • 今回は、IPv6に対応したサービスだけが使えた。IPv4の道だけが詰まっていた可能性がある。
  • Wi-Fiに切り替えれば、問題が携帯回線側かどうかすぐにわかる。

通信の仕組みをちょっと知っておくだけで、災害のときに「なんで?」と焦らずにすむと思います。

参考

この記事を書いた人

よざ(Yoraku)。千葉県を拠点に、Webデザイン、ロゴ、写真、ブランディングを手がけるクリエイター。この記事は、台風25号の翌日に茂原市で実際に体験したことをもとに書いています。

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