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インターネットの歴史と仕組み住所と線でできている

地球のまわりの家やお店が点線でつながり、手紙が行き交う絵

インターネットと聞くと、空にうかぶ雲のようなものを思いうかべるかもしれません。でも、本当の姿はもっと地味です。住所とケーブルの集まりです。

この記事の結論

  • インターネットは「住所(IPアドレス)」と「線(ケーブル)」の集まりです。空の雲ではありません。
  • 番号の住所を、人が読める名前に直す住所録もあります。それが DNS という仕組みです。
  • 通り道には、チェックポイント(関所)がいくつもあります。だから「一部だけ使えない」ことが起きます。

インターネットは「線でつながった住所の集まり」

世界中のコンピュータには、1台ずつ「住所」がついています。その住所と住所の間を、ケーブルの「線」がつないでいます。インターネットは、ほぼこれだけの仕組みです。

郵便によく似ています。荷物を送るには、まず送り先の住所が必要です。そして、運ぶための道路とトラックも必要です。

インターネットにも、住所の役をするものと、線の役をするものがあります。どちらか片方だけでは、荷物は届きません。

この記事では、その2つがどうやって今の形になったのかを、順番に見ていきます。

インターネットは住所と線でできている あなたのパソコンから、線(ケーブルとプロバイダ)を通って、相手のサーバーへ荷物が届く図。 インターネット=住所+線 あなたの パソコン 差出人 線 ケーブル・プロバイダ 相手の サーバー 宛先 192.0.2.34 住所がないと届かない。線が切れても届かない
図1 インターネットは「住所」と「線」でできている

はじまりは、4か所をつないだだけでした

4つの建物が線でつながり、小包が行き来する絵

JPNIC の「インターネット歴史年表」を見てみます。今のインターネットの原型げんけいが動き出したのは、1969年10月でした。ARPANET(アーパネット)という名前です。

つないだ場所は、たった4か所です。いまの世界中の広がりは、ここから始まりました。

次に決まったのが、荷札の書き方と、運び方のルールです。1983年1月1日、ARPANET はそのルールを TCP/IP に切り替えました。「ティーシーピー・アイピー」と読みます。

このとき、今も使われている IPv4 という住所の書き方が、使われ始めました。

TCP/IP は、言いかえれば「荷札の書き方と、運び方の共通ルール」です。世界中の機械が、同じルールを守っています。だから、作った会社が違っても話が通じます。

同じ1983年の6月23日には、DNS(ディーエヌエス)という仕組みが作られました。あとで出てくる「住所録」のことです。

私たちがふだん見ている「ホームページ」は、もう少しあとの話です。World Wide Web を考えたのは、ティム・バーナーズ=リーという人でした。1989年のことです。

これは CERN(欧州原子核研究機構)の説明にあります。1990年の終わりには、最初のサーバーと閲覧えつらんソフトが動いています。閲覧ソフトは、いまのブラウザにあたるものです。

そして1993年4月30日、CERN はそのソフトの中身を、だれでも無料で使えるようにしました。中身のことを、ソースコードと呼びます。ここから一気に広がります。

日本での始まりも見てみます。

  • 1984年10月JUNET(ジェイユーネット)が、大学3校をつないで始まりました。東京大学・東京工業大学・慶應義塾大学です。
  • 1992年11月会社が売る接続サービスとしては、AT&T Jens の「SPIN」が日本で最初とされています。

お金を払ってだれでも使えるようになってから、まだ30年ちょっとしかたっていません。

住所(IPアドレス)と、住所録(DNS)

IPアドレスは、機械につけられた番号です。「192.0.2.34」のような形をしています。これが住所にあたります。

ただし、人はこんな番号を覚えられません。そこで出てくるのがドメイン名です。「yoraku.art」のような、読める名前のことです。

この名前と番号を結びつけるのが DNS です。JPNIC は DNS を「インターネットの住所録」と説明しています。名前から番号を調べることを「名前解決」と呼びます。

この住所録は、1冊にまとまっていません。世界中のサーバーが手分けして持っています。並び方は、上から下へ枝分かれしていく形です。

  • いちばん上「ルートサーバ」があります。住所録の目次にあたる役です。
  • その下「jp」や「com」があります。国や種類ごとの区切りです。
  • さらにその下会社ごとの名前があります。「yoraku.art」はここです。

上から順にたどっていくと、目的の番号にたどり着きます。

つまり、あなたの会社のホームページが開くまでに、少なくとも2段階あります。まず名前を番号に変えます。次に、その番号の相手に荷物を届けます。

どちらか片方が止まれば、ページは開きません。

DNSは住所録 ブラウザがルートサーバ、jp・com・art、会社のネームサーバーの順にたどって、名前から番号を調べる図。 ルートサーバ jp com art yoraku.art のネームサーバー あなたのブラウザ yoraku.art はどこ? 192.0.2.34 です これを「名前解決」といいます
図2 DNSは、世界中で手分けしている住所録

線のほう:海底ケーブルとプロバイダ

海の底を通るケーブルと、その上を行く船の絵

海の向こうのサイトを見るとき、電波が海を飛んでいるわけではありません。海の底にケーブルが敷しかれています。

総務省の令和2年版情報通信白書は、こんな数字を引用しています。国をまたぐデータ通信の99%が、海底ケーブルを通っているという数字です。想像よりずっと物理的な仕組みです。

国内の部分は、プロバイダ(ISP)が受け持ちます。あなたの会社やお店から、海底ケーブルにつながるまでの道のりです。プロバイダは「地元の運送会社」のような役です。

IPアドレスも、このプロバイダを通じて配られます。JPNIC の説明では、次のように上から順に分けられていきます。

  • IANA世界全体の大元です。ここが大きなまとまりで持っています。
  • 地域の登録組織アジア太平洋やヨーロッパなど、地域ごとにまとめる組織です。
  • プロバイダ地域の組織から受け取り、契約した会社や家に配ります。
  • 利用者あなたの会社やお店が、最後に受け取ります。

ですから、勝手に好きな番号を名乗ることはできません。番号が重なると、荷物が届かなくなるからです。

住所が足りなくなりました

1983年から使われている IPv4 の住所は、全部で約43億個です。世界の人口より少ない数です。

ひとりが何台も機械を持つ時代になり、足りなくなりました。JPNIC によると、大元の在庫は2011年2月3日になくなりました。アジア太平洋地域の在庫も、2011年4月15日になくなっています。

そこで作られたのが IPv6 です。使える住所の数は、およそ3.4×10の38乗あります。JPNIC は「天文学的な数字」と書いています。数えきれないほど多い、という意味です。

いまは、IPv4 と IPv6 の両方が動いています。新しい住所と古い住所が混在こんざいする、つまり混ざっている状態です。

ふだんは気になりません。でも、調子が悪いときに、この違いが表に出てくることがあります。

IPv4とIPv6 IPv4は約43億個で2011年2月3日に在庫がなくなり、IPv6は約3.4かける10の38乗個。いまは両方が動いている。 IPv4(1983年〜) 約43億個 2011年2月3日 在庫なし IPv6 約3.4×10³⁸個 当面なくならない数 いまは両方が動いている だから、片方だけ止まって「一部だけ使えない」ことがある
図3 住所は2種類。いまは両方が動いている

だから「一部だけ使えない」ことがあります

荷物を運ぶ人が、いくつもある関所の1つで足止めされる絵

ここまで読むと、想像がつくと思います。インターネットは1本の管ではありません。住所録、線、プロバイダ、そして新しい住所と古い住所。

つまり通り道に、チェックポイント(関所せきしょ)がいくつもあるということです。

台風や停電のあと、「電波はあるのに、一部のアプリだけ使えない」ことがあります。スマホが壊れたわけではありません。通り道のチェックポイントのどれかが、止まっているだけです。

困ったときは、まず次のどちらなのかを見てください。

  • 全部だめどのサイトも、どのアプリも開かない。
  • 一部だけだめ開くものと、開かないものがある。

これを見分けるだけで、原因のある場所がだいぶ絞れます。

実際にそうなったときの話と、自分で確かめる方法 → 電波はあるのにネットがつながらない原因は?

よくある質問

Q. Wi-Fiとインターネットは同じものですか。

別のものです。Wi-Fi は建物の中の無線、つまり家の中の廊下にあたります。インターネットは、その外につながる道路です。Wi-Fi につながっていても、外の道路のほうで問題が起きていれば、サイトは開きません。まずルーターのランプが点いているかを見てください。それが最初の目印になります。

Q. IPアドレスは自分で好きな番号を決められますか。

決められません。JPNIC の説明では、IPアドレスは上から順に配られます。IANA という大元から、地域の登録組織、プロバイダ、そして利用者へ、という流れです。番号が重なると、荷物が届かなくなるからです。ふつうの会社やお店は、契約したプロバイダから割り当てられた番号を使います。

Q. ドメイン名とホームページは同じですか。

違います。ドメイン名は住所の表札ひょうさつで、ホームページは建物の中身です。表札だけあっても、中身はありません。中身を作っても、表札をそこに向けていなければ、外からは見えません。2つは別に用意して、あとでつなぎ合わせます。

Q. IPv6に切り替えたほうがよいのでしょうか。

あなたの会社の側で何かする必要は、ふつうはありません。IPv6 への対応は、回線とプロバイダ、機器の側で進みます。いまは IPv4 と IPv6 の両方が動いています。自分の家やお店の回線がどちらで通っているかは、契約しているプロバイダに聞くのが確実です。

参考

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