「その服、大阪のおばちゃんみたいやな」。
大阪の外でこう言われて、「ありがとう!」と返す人は、たぶんいません。だいたい、ちょっとむっとします。
でも、よく考えると、ふしぎな話です。当の大阪のおばちゃんたちは、その服を「おしゃれ」だと思って着ているのですから。
本人たちは、おしゃれのつもり

ヒョウ柄。くるくるのパーマ。大きなイヤリング。そして、かばんの中には、なぜか必ずあめちゃん。
よく言われる「大阪のおばちゃん」のフルセットです。
これ、本人たちにとっては「派手」ではなく、たぶん「元気」です。明るい柄を着ると気分が上がる。目立つから、知らない人とも話しやすい。あめちゃんがあれば、初対面の子どもとも3秒で仲良くなれる。
理にかなっています。むしろ、かなり考えられています。
なのに、大阪の外では「〜みたい」
ところが、同じ服で大阪の外へ出ると、急に風向きが変わります。
「大阪のおばちゃんみたい」。この言葉には、ほめる気持ちは、あまり入っていません。「ちょっと派手やで」「やりすぎちゃう?」くらいの意味で使われます。
服は何も変わっていないのに、です。新幹線で県境をこえた瞬間に、ヒョウ柄の意味だけが変わる。よく考えると、ちょっと面白い現象です。
理由はたぶん、おしゃれを測る「物差し」が、場所によって違うからです。「まわりになじむのが上品」の物差しで測ると、ヒョウ柄は「やりすぎ」。「元気に見えるのがおしゃれ」の物差しで測ると、同じヒョウ柄が「最高」になります。
たぶん、言われたおばちゃんは気にしていない
ここで、もうひとつ面白いことに気づきます。
「大阪のおばちゃんみたい」と言われて傷つくのは、たいてい大阪のおばちゃんではない人です。
本物の大阪のおばちゃんに「大阪のおばちゃんみたいですね」と言っても、たぶん「せやで。あめちゃん食べる?」で終わります。悪口のつもりが、まったく効いていない。それどころか、あめちゃんをもらって帰ってくることになります。
自分の「好き」に自信がある人に、からかいの言葉は、あまり届かないのです。
名前だけで絵が浮かぶ=最強のブランド

考えてみてください。
「大阪のおばちゃん」と聞いただけで、服も、髪型も、声の大きさも、あめちゃんも、みんなの頭に同じ絵が浮かびます。
これ、じつはとんでもないことです。会社やお店が、自分たちの名前を聞いただけで、こんなにはっきりした絵を思い浮かべてもらえることは、まずありません。ロゴを作って、広告を出して、何年もかけて、それでも難しい。ブランドづくりで、いちばん欲しいものです。
しかも大阪のおばちゃんは、ロゴもテレビCMもなしで、これを手に入れました。会議もしていないし、ルールブックもありません。ひとりひとりが「自分の好き」を、まわりに何を言われても、ずっと続けてきた。それだけです。
外の物差しでからかわれても、自分たちの物差しを手放さなかった。その積み重ねが、日本でいちばん強いブランドのひとつを作ったのだと思います。
ほめ言葉にするなら
とはいえ、言われた側がむっとする言葉であることも、たしかです。
人をあるイメージに入れてしまうと、その人が「なぜその服を選んだのか」は見えなくなります。好きな色だったのかもしれないし、元気を出したい日だったのかもしれない。
だから、もし言うなら、こんなふうに。
- 「その柄、元気が出るね」相手の物差しのほうで、ほめてみる。
- 「似合ってるね、どこで買ったの?」からかう代わりに、興味を持ってみる。たぶん、あめちゃんもついてきます。
茂原・長生郡のおばちゃんは?
ここで、ひとつ考えてしまいました。
「茂原のおばちゃん」「長生郡のおばちゃん」と聞いて、みなさんの頭に、何か絵は浮かぶでしょうか。
……たぶん、まだ浮かびません。でも、それは「らしさがない」のではなく、「まだ言葉になっていない」だけだと思います。茂原市や長生郡(一宮町・睦沢町・長生村・白子町・長柄町・長南町)、市原市・木更津市・東金市・大網白里市のお店にも、その土地の人にしか出せない「らしさ」が、ちゃんとあります。
Yoraku は、茂原市を拠点に、お店の人と話しながら、その「らしさ」を見つけて形にする仕事をしています。名前を聞いただけで、お客さまの頭に絵が浮かぶお店へ。ロゴ や ホームページ のことも、気軽にご相談ください。
おわりに
「大阪のおばちゃんみたいだね」。
いつかこの言葉が、「自分の好きに自信があって、元気で、すてきだね」という意味で使われる日が来たらいいな、と思います。
……と書きながら、たぶん大阪のおばちゃんたちは、そんな日が来なくても、まったく気にしていない気がします。
やっぱり、いちばん強いのは、おばちゃんです。
ブランドって何? をもう少し知りたい方は → ブランド・ブランディングとは?
