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ブランド・ブランディングとは?

同じ姿のものが5つ並び、1つだけ金色。その1つに手が伸びている絵

「ブランディングしたいんです」
そう言われることがあります。

よく聞いていくと、指しているものが人によってバラバラです。ロゴを新しくしたい人もいれば、値段で選ばれるのをやめたい人もいます。

そもそも「ブランド」と「ブランディング」は何を指す言葉なのか。そして、なぜ大切なのか。
知らない前提で、順に説明します。

ブランドとは?

同じような2本のお茶から、なんとなく片方を手に取る人の絵

ブランドは、相手の頭の中にあるものです。

コンビニで、同じくらいの値段のお茶が2本ならんでいて、なんとなく片方を取る。あの「なんとなく」がブランドです。味を比べたわけでも、成分を読んだわけでもありません。頭の中にある印象が、手を動かしています。

だいじなのは、ブランドは自分で決められないということです。相手が「あの会社って、こういう感じだよね」と思っている、その中身がブランドです。

ロゴでもキャッチコピーでもありません。それらは、ブランドを伝えるための道具です。
「うちのブランドはこうです」と言っても、相手がそう思っていなければ、まだブランドにはなっていません。

このホームページも、そうです。ここまで読んで、これまでの制作実績も見て、「なんとなく、こういう感じの人か」と思っていただけたなら、それがもう Yoraku のブランドです。

そう思ってもらえていれば、他と同じ値段のとき、あるいは少し高いときでも、「この人に頼んでみようかな」と思ってもらえるかもしれません。

ブランディングとは?

店の人がていねいに包んだ品物をお客さんに手渡す絵

ブランディングは、相手の頭の中にできる像を、意図した形に近づけていく作業です。

ロゴ、写真、言葉づかい、電話の出かた、納品のしかた。ぜんぶが少しずつ像をつくります。だから、見た目を整えるだけでは足りません。

一発で決まるものでもありません。同じことを長く繰り返して、ようやくそろっていきます。派手なことより、ブレないことのほうが効きます。

もうひとつ。相手の頭の中の像は、「この会社なら、こうしてくれるはず」という期待でもあります。つまりブランドは約束です。期待どおりのことが続くと信頼が積み上がり、一度でも大きく裏切ると、積み上げた像は一気に崩れます。
だからブランディングの中心は、見た目より、日々の行動を約束にそろえることです。電話の出かた、納期の守りかた、できないことを正直に言うか。そこが像をつくります。

なぜ大切なのか ── どれも同じに見える時代だから

同じ形の箱がならぶ棚の前で、どれを選ぶか迷う人の絵

いま、ほとんどのものが「どこで買っても、だいたい同じ」に見えます。

理由ははっきりしています。いい道具も、いい情報も、安く手に入るようになったからです。昔は差がついていたところが、みんな同じくらいできるようになりました。品質も、見た目も、値段も、横並びに近づいています。

同じに見えるものが並んだとき、人は何で選ぶか。安いほうか、知っているほうです。
値段で選ばれたくなければ、「知っている」「ここは、ほかと違う」と思ってもらうしかありません。その「知っている」と「違い」が置かれる場所が、相手の頭の中=ブランドです。

大切なのは、売るときだけではありません。効いてくる場面は、だいたいこの6つです。

1. 売るとき
「どこでもいい」から「ここがいい」に変わります。選ぶ理由が値段以外にできます。

2. 値段をつけるとき
同じものでも、その会社が出しているから高くていい、という理由が立ちます。安売りから降りられます。

3. 人を採るとき
働く人も同じように選んでいます。「何をしている会社か」「どんな人たちか」が見えないと、条件だけで比べられます。

4. ファンになってもらうとき
紹介・口コミ・SNSでのひとこと。応援は、その会社が何を大事にしているか分かる相手にしか起きません。ここがいちばん大きいので、あとで詳しく書きます。

5. 人についてきてもらうとき
社内も同じです。向かう先がはっきりしていると、判断が早くなり、同じ方向に力が出ます。

6. 覚えてもらうとき
そもそも思い出してもらえなければ、検討にも入りません。像がはっきりしているほど、必要になったときに名前が出ます。

ブランドをつくるのは、ものより「文脈」

山頂の売店で、疲れた登山者が水を買ってほっとする絵

ここがいちばん大事なところです。同じものでも、どんな話の中に置かれるかで、受け取られ方が変わります。

コンビニの水は100円です。同じ水が、山の頂上の売店では500円で売れます。水は1ミリも変わっていません。変わったのは、それが置かれている状況と、買う人の事情です。

仕事でも同じです。西ノ島町観光協会さまのロゴをつくったとき、島の写真から13色を取り出しました。色だけ見れば、ただの青と橙です。でも「この青は、あの島の海の色です」と分かった瞬間に、同じ青が別のものになります。

だからブランディングで整えているのは、ものそのものより、そのものが置かれる文脈です。どういう人が、どんな理由で、何を思って作ったのか。それが伝わっていると、同じ品質でも受け取られ方が変わります。

そして文脈は、その人とその会社にしかありません。商品はいつか真似されます。値段も追いつかれます。でも、これまで何をしてきたかと、これから何を目指すのかは、よそから持ってこられません。

その過去と未来のあいだに、その会社ならではの付加価値が生まれます。それがブランドになります。

逆に言うと、いいものを作っても、文脈がなければ「ただのいいもの」で終わります。そして「ただのいいもの」は、また値段で比べられます。

ファンをつくる ── 「選ばれる」から「また選ばれる」へ

常連のお客さんが友だちを連れて、またお店にやってくる絵

ブランドがいちばん効くのは、実は買ったあとです。

一度選んでもらうだけなら、広告と値段でもできます。でも、もっと安いところが出てきても戻ってきてくれる人、頼んでもいないのに人にすすめてくれる人。それがファンです。ファンがいる会社は、売るたびに一から説明しなくてよくなり、値段で比べられなくなり、次の仕事が紹介で来ます。

ファンは、いいものを作れば自然に生まれる、というものでもありません。だいたい、この4つがそろったときに生まれます。

1. 顔が見える
誰が、どんな顔で作っているのか。人は「もの」より「人」につきます。代表の言葉、現場の写真、失敗した話。うまく見せることより、隠さないことです。

2. 言っていることと、やっていることが同じ
「丁寧です」と書いてあるのに返事が遅い、では像が崩れます。逆に、書いてあるとおりのことが3回続くと、相手の中で「この会社は本当にそうだ」に変わります。約束を守ることが、いちばん地味で、いちばん効くブランディングです。

3. 物語を共有できる
なぜこの仕事をしているのか、どうやって作っているのか。裏側を知っている人は、その商品を見るたびに物語ごと思い出します。文脈を渡す、ということです。

4. 相手が参加できる
名前で呼ばれる。意見を聞かれて、それが次に反映される。小さくても「自分もこの会社の一部だ」と感じられる入口があると、お客さんはファンに変わります。

そして、ファンは数ではありません。10人の本気のファンは、1000人の通りすがりより強い。10人が紹介し、また頼み、値段を比べずに戻ってくるからです。小さな会社が大きな会社に勝てるのは、ここです。

小さな会社にも、ブランドはありますか?

夜でも駆けつける電気屋さんを、住人がほっとして迎える絵

あります。有名かどうかとは関係ありません。

「あそこの電気屋さんは、夜でも来てくれる」
「あの店は、頼めばなんとかしてくれる」
これも立派なブランドです。知っている人が100人しかいなくても、その100人の頭の中に像があるなら、ブランドはあります。

むしろ、小さな会社ほど効きます。大きな会社と同じ土俵で、安さや品揃えで戦う必要がなくなるからです。顔が見えて、約束を守りやすく、ひとりひとりを名前で呼べる。ファンをつくる4つの条件は、小さな会社のほうがそろえやすいのです。

実際には、何をするんですか?

デザイナーと社長がテーブルでカードをならべ、話を整理する絵

Yoraku の場合は、だいたいこの4つの順で進めます。

1. 聞く
まず、じっくり話を聞きます。事業の核心、これまでの歩み、やってみたいこと。1〜2時間かけることもあります。ここで出てくるのは、本人が「当たり前すぎて言うほどでもない」と思っていることが多いです。

2. 整理する
聞いたことを、ひとつの物語として並べ直します。なぜこの事業をやっているのか。誰のためなのか。どうやっているのか。散らばっていた話に、一本の筋を通します。

3. 言葉にする
筋が通ったら、それを言葉として固定します。やっていること、目指している未来、大切にしていること。ここが決まると、迷ったときの基準ができます。

4. 形にして、続ける
そこでようやく、ロゴや写真やホームページの出番です。そして、いちばん大事なのは続けることです。作って終わりにすると、像はまたぼやけていきます。続けるのは見た目だけではありません。決めた言葉のとおりに、電話に出て、納品して、断る。社内の一人ひとりの行動が、いちばん大きなブランディングです。

よく「ロゴを作ればブランディングですか?」と聞かれますが、ロゴは4番目の一部です。軸が決まっていない状態で作ったロゴは、しばらくすると「なんとなく合っていない」と感じ始めます。逆に1〜3が済んでいると、ロゴもホームページも写真も、全部が同じ方向を向きます。

どこから始めればいいですか?

お茶を飲みながら、ゆっくり話を聞いてもらう絵

まず、話を聞かせてもらうところからです。

自分の会社のことは、自分ではいちばん見えにくいものです。外から聞かれて、答えているうちに出てくることがたくさんあります。

「うちにブランドなんてない」と思っている方こそ、話してみてください。だいたい、もうあります。気づいていないだけです。

「強みなんてない」と言われたときの話は、別の記事に書きました。

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