「デザインとアートって、何が違うんですか?」
打ち合わせで、たまに聞かれます。
ぼくは両方やっています。仕事としてのデザインと、作品としてのアート。似た顔をしていますが、向いている方向は正反対です。
そもそも、それぞれ何を指す言葉なのか。知らない前提で、順に説明します。
デザインって、なんですか?

デザインは、課題解決です。
「見た目を格好よくすること」だと思われがちですが、本当の仕事は、困っていることを解くことです。
身近なところにもたくさんあります。駅の案内表示、コンビニの棚の並び、スマホのボタンの大きさ。どれもデザインです。格好いいかどうかより、迷わず使えるかで作られています。
だから、うまくいったかどうかもはっきりしています。どれだけ格好よくても、お客さんから連絡が来なければ、そのチラシは失敗です。逆に、地味でも連絡が来れば成功です。
作りたいものを作るのではなく、その課題が解ける形を探す。それがデザインだと思っています。
もうひとつ、ぼくの言葉で言うと、デザインは整理です。
困りごとは、たいてい「散らかっている」ことから始まります。伝えたいことが多すぎる。順番がばらばら。いちばん大事なものが、他に埋もれて見えない。
だから、まず全部出す。似たものをまとめる。いらないものを捨てる。残ったものに順番をつける。
見た目は、そのあとで決まります。整理が終わっていれば、形はだいたい自然に決まっていきます。
この考え方は、デザイナーの佐藤可士和さんの『佐藤可士和の超整理術』から学びました。勝手に先生だと思っている方で、この本はぼくのバイブルです。デザインの基礎は、ここからもらったと思っています。
アートって、なんですか?

アートは、自己表現です。
自分の中にあるものを、そのまま外に出す。伝わらなくていい、とまでは言いませんが、伝わることが目的ではありません。
解くべき課題はありません。あるのは、自分の中から出したいものだけです。
だから「なぜ作ったんですか」と聞かれても、うまく答えられないことがあります。作りたかったから、としか言えない。
ただ、作ったものが、結果として誰かの困りごとを解くこともあります。
そうなったとき、それはデザインとしても働きはじめます。
狙ってそうしたわけではなく、あとからそうなる。順番が逆なだけで、行き着く先が重なることはあります。
何が、どう違うんですか?

並べると、はっきりします。
誰のために作るか
デザインは相手のため。アートは自分のため。
何をするものか
デザインは課題を解く。アートは思いを出す。
うまくいったか、どう測るか
デザインは、課題が解けたかで測れます。アートは、測るものではありません。
正解があるか
デザインにはあります。アートにはありません。だからアートは「うまい・へた」ではなく「好き・嫌い」で受け取られます。
仕事で頼むのは、どっち?

ほとんどの場合、デザインです。
お客さんが声をかけてくださるときは、たいてい困っていることがあります。人が採れない、見てもらえない、値段で比べられる。それを解くのがデザインの仕事です。
アートのほうは、作品として別に作っています。気になる方はこちらをどうぞ。
ブランド・ブランディングとは何かは、別の記事に書きました。
