ChatGPT のようなAIは、ふつうは遠くのサーバーで動いています。そのAIを、自分のパソコンの中で動かすこともできます。
この記事の結論
- ローカルAIは、AIの本体を自分のパソコンに置いて動かす使い方です。文章を扱うAIなので、ローカルLLMとも呼ばれます。
- よい点は、入れた文章が外に出ないこと。通信がなくても動き、使うたびのお金もかかりません。
- 弱い点は、パソコンの性能で賢さが決まること。仕事で使う前に、AIごとの約束ごと(ライセンス)を確かめます。
LLMとは:たくさんの文章から学んだAI

LLMは、Large Language Model の頭文字です。日本語では「大規模言語モデル」と呼びます。
総務省の白書でも、生成AIを支える技術の1つとして紹介されています。
とても多くの文章を読んで学び、言葉のつながり方を覚えたAIです。その力で、質問に答えたり、文章をつくったりします。
AIが学んだ中身は、「パラメータ」という数の集まりとして残ります。この数が多いほど、AIは大きくなります。
総務省の白書によれば、GPT-3 のパラメータは1,750億です。AIの歴史は AIの歴史と仕組み で紹介しています。
ローカルとは:AIの本体を手元に置く

ChatGPT や Claude をブラウザで使うとき、AIは遠くのサーバーで動いています。入れた文章は、インターネットを通って届きます。
ローカルAIでは、AIの本体を一度だけダウンロードします。本体は、学んだ中身が入った大きなファイルです。
あとは、自分のパソコンの中で計算して答えます。ここが「ローカル(手元)」の意味です。
Ollama という無料の道具の説明には、こう書かれています。「手元で動かすとき、入力もデータも、こちらからは見えません」。
よいところ:外に出ない・通信なしで動く

よいところは、おもに3つです。
- 外に出ない入れた文章は、パソコンの中で扱われます。社外に出したくない資料と相性がよい使い方です。
- 通信なしで動くLM Studio の説明にも、本体を先に入れておけば「完全にオフラインで動く」とあります。
- 使うたびのお金がないOllama は、手元で動かす分は無料で、回数の上限もありません。
一方で、苦手なこともあります。いちばん大きいのは、パソコンの性能で使えるAIの大きさが決まることです。
サーバーのAIと手元のAIの比べ方は、AIはどこで動かす? でくわしく書いています。
「7B」とは? 大きさとメモリの話

ローカルAIの名前には、よく「7B」「70B」などが付きます。B は Billion(10億)で、パラメータの数を表します。
7B なら70億、70B なら700億です。数字が大きいほど賢くなりやすく、そのぶん重くなります。
AIを動かすときは、本体をメモリに丸ごと載せます。だから、本体の大きさとメモリの広さが大事です。
Ollama で配られている本体の大きさを、いくつか並べます(2026年9月時点)。
たとえば OpenAI の gpt-oss-20b は、公式に「16GBのメモリで動く」とされています。一方の gpt-oss-120b は、80GBのGPUが1枚要ります。
パソコンの中身の話は、パソコンの中身 と AIとパソコンの性能 で説明しています。
本体を小さくする工夫もあります。「量子化」といいます。
数の細かさを少し落として、ファイルを小さくする方法です。賢さはなるべく保ったまま、軽くします。
Google の資料では、Gemma 4 の31B は、そのままだと約70GBです。量子化すると約17.5GBになり、4分の1ほどに縮みます。
どうやって始める?
始めるのに、特別な知識はいりません。無料で使える道具があります。代表的なのは、この2つです。
- Ollama(オラマ)Mac・Windows・Linux で使えます。手元で動かす分は無料です。黒い画面(ターミナル)で使うのが基本です。
- LM Studio画面を見ながら、マウスで使えます。2025年7月から、仕事での利用も無料になりました。Mac は Apple シリコンのものが対象です。
手順は、だいたい3つです。
- 1. 道具を入れる公式サイトから、道具をダウンロードします。
- 2. AIの本体を選ぶ最初は、小さいもの(数GB)から試すのが安全です。
- 3. 話しかけるダウンロードが終われば、あとはチャットと同じように使えます。
AIの本体は、いろいろな会社や研究機関が公開しています。たとえば、次のようなものがあります。
- GemmaGoogle が公開しています。
- gpt-ossOpenAI が公開しています。
- LlamaMeta が公開しています。
- QwenAlibaba が公開しています。
- 日本生まれのAI国立情報学研究所の LLM-jp や、東京科学大学と産総研の Swallow などがあります。
黒い画面が苦手なら、ターミナルとは? も読んでみてください。
仕事で使う前に、確かめること

公開されているAIには、それぞれ使い方の約束ごとがあります。これを「ライセンス」といいます。
Gemma 4・gpt-oss・Qwen3.5 などは、Apache 2.0 という、仕事でも使いやすいライセンスです。
Llama は、Meta 独自のライセンスです。たとえば、月の利用者が7億人を超える場合は、Meta の許可が要ります。
ほかにも、気をつけることがあります。
- 知識には締め切りがあるたとえば Llama 3.1 の学習データは、2023年12月までです。新しい出来事は知りません。
- 日本語の得意・不得意Llama 3.1 の公式の対応言語に、日本語は入っていません。日本語なら、日本語に強いAIを選びます。
- 答えは人が確かめるローカルでもサーバーでも、AIの答えはそのまま使わず、人の目で確かめます。
会社でAIを使うときの考え方は、国も指針にまとめています。総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」で、2026年3月に第1.2版が出ています。
何を手元に置き、何をサーバーに任せるか。その線引きは、業種や仕事によって違います。迷ったら、ご相談ください。
よくある質問
Q. ふつうのノートパソコンでも動きますか。
小さいAIなら動くことがあります。まずは数GBの本体から試してください。
ただし、メモリが少ないと動かないか、とても遅くなります。LM Studio は、16GB以上のメモリをすすめています。
Q. ChatGPT と同じくらい賢いですか。
手元のパソコンに載る大きさには、限りがあります。大きなAIほど、広いメモリや高い性能のGPUが要ります。
難しい仕事はサーバーのAI、外に出せない仕事は手元のAI、と使い分ける会社が多くなります。
Q. 本当にお金はかかりませんか。
道具と、多くのAIの本体は無料です。使うたびの料金もありません。
ただし、パソコンの代金と電気代はかかります。性能の高いパソコンを買うなら、その費用も考えます。
Q. 会社の資料を入れても大丈夫ですか。
手元で動かす分には、入れた文章は外に出ません。ただし、パソコン自体の管理(盗難やウイルスへの備え)は必要です。
どの資料を入れてよいか、先に社内で決めておくと安心です。
参考
- 総務省『令和7年版 情報通信白書』
- IBM「What are large language models (LLMs)?」
- Ollama 公式ドキュメント FAQ
- Ollama 料金
- Ollama「gemma3」・「gpt-oss」
- LM Studio 公式ドキュメント・動作環境
- LM Studio「LM Studio is free for use at work」
- OpenAI「gpt-oss-20b」(Hugging Face)
- Google「Gemma」公式ドキュメント
- Hugging Face「Quantization」
- Meta「Llama 3.1 モデルカード」・ライセンス
- 国立情報学研究所(LLM-jp)・Swallow
- 経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」
